毎月更新されるコラムのページ 月刊アートの2F
[2Fはどこへ消えた?]まことしやかに噂されるアートカレッジの2F。 このコーナーは学校案内やHPでは伝えきれない 本校のディープな今をお届けします。

エンバイロメントデザイン 自然から学びデザインする ■講義名:エンバイロメントデザイン ■講師:田村 元先生

エンバイロメントデザインってなんだ?
どんな授業するの?そんな疑問を抱きながら、7月7日(金)、AM9:30
今年注目のエンバイロメントデザインの授業現場に潜入取材を行った。


『今日は七夕ですね。七夕の正体は何か知ってますか?』
『チリだったかな?』
先ずはそこから授業がスタート!
『じゃあ地球は何でできているか知ってる?』
5人の生徒で囲む机は先生との距離がとても近くてアットホームで自由に発言をしていて“授業”という堅苦しい感じがない。

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本日の授業は、「フラクタル幾何学」。
例えば中学や高校までは丸や三角、円柱形など、規則性のあるものを描いてきた。しかし、自然界には波の形や、葉っぱの形など、数式や曲線では表しきれないものが数多く存在する。そういった複雑なものの規則性を見出し、体で覚えていく!これが本日のテーマ。

実際に先生が持ってきた本や写真などを見ながら、どういうものが「フラクタル」なのかを目で覚える。
次に学生達は先生から渡された雪の結晶やカリフラワーのような模様をトレースしていく。
なかなか根気のいる作業だ。
こうやってトレースして体で覚えると、デザインするときに自然と描けるようになるそうだ。

でも・・・作業しているだけだと時には手がしびれたり、目がチカチカして疲れるんですよ。(学生談)

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田村元先生 そんな時はちょっと一息、先生から色々な話を聞きだす絶好のチャンスだ。
『サッカーワールドカップのドイツの会場見た?あの建築はね・・・』
『日本の伝統建築は有機的っていわれてるんだよ。例えば・・・』
『自然に液体や空気が混ざったりするのって何でか分かる?』
『このカリフラワーのような図はねずみ講と同じだよね』
など、とにかく幅が広く興味深い。
「環境」というからには、大気汚染とか、オゾン層破壊とかよく耳にする環境問題をまた学習するのかと思っていたら全く違った。
建築、デザインはもちろんのこと、環境、宇宙、科学、文学まで、とにかく幅が広い。しかも先生の説明はとても難しい内容を、簡単に、楽しく教えてくださるので、勉強という感じがしない。


でもなぜ今エンバイロメントデザインなのか?
授業終了後、めがね姿が素敵な田村先生に伺った。
『科学の目を持つことが必要なんです。その時代にはその時代の建築物があって、そこには文化があり、デザインがあります。とくにデザインと文化は深く関わっています。
田村元先生 だから何かをデザインするとき科学がどう宇宙をみているのか、どう環境をみているのかを知らないと、時代遅れなデザインをしてしまうことになるんです。』
ではなぜ“エコデザイン”ではなく“エンバイロメントデザイン”なんでしょうか?
『中学や高校でみんな環境については学習しているんです。けれども、それは上辺だけで根底からの理解、本質は見抜いていないんですよね。
自分が作ったものが最後はどうなるのか、どんどん分解されると最終的には何になるのか、ものづくりに関わる者として知っておくことが必要なんです。だからデザインの知識だけじゃなくて、違う分野の知識も知っている必要があるんです。』


今日までの授業ではどんなことを学んだのですか?
『「屋上緑化」の方法について学びました。ヒートアイランド現象が問題になっていますが、非常に効果的なんです。
他には土着的なものから学ぶもの。世界中には様々な気候があってそれぞれの建築がありますが、それらがどのように対応しているか。日本では高床式住居なんかもその1つですね。
あとは「地産地消」といって地元で生産されたものを地元でいかに消費するか。
例えば今までは外国からシロアリの好きな木材をわざわざ船に載せて、大量のCO2を排出して運んできていました。しかし日本にも日本の気候や建築に合う木材はあるんです。そういう素材をどうやって使うか。などですね。』


関西でエンバイロメントデザインを利用した建物はありますか?
『国会図書館の関西館が京都にあります。(http://www.ndl.go.jp/index.html
この建物は書庫を地下に埋めて本来の景観を崩さないように設計されています。また、館内を最適な環境に保つためのダブルスキンによる空調の工夫や、湿度の対策なども環境に配慮されていてすばらしいです。建物を含めたランドスケープにストーリー性があるのも美しいですよ。』
田村先生ご協力ありがとうございました。


デザインってカッコイイだけなんだ。と思っていた私は、エンバイロメントデザインの奥深さに驚きました。「ものの本質を知ってデザインする。」これはこれからデザイナーとして永く生きていく為には必要な知識だと思いました。私もまた仕事の合間にこっそり授業に参加したいです。
取材:広報部 木藤良 恭子

田村元先生 田村 元先生のプロフィール
筑波大学 芸術専門学群卒
林昭男建築研究室勤務の後、渡英
AAスクール大学院修了後、在英国日本国大使館にて顧問建築士
公邸などの歴史的建造物の改修工事計画に携わる
帰国後、設計事務所を開設 一級建築士
主な活動
有限会社 たぁ設計 代表取締役 田村 元
事務所
有限会社 たぁ設計